キョウト・スタイル 12月号

伝統を受け継ぐというコト キョウト・スタイル





 

Kyoto lifestyle connection キョウトからはじまる美しいくらし

伝統や文化を受け継ぐ事を生業とする若い世代を紹介します。vol.11

造園業(株)みちくさ 小笠原哲(34)おがさわら さとる

京都と庭の関係性は奥深い。平安京の時、皇族や貴族達は山荘を営み、石や池など京都の自然をモチーフにした、美しい庭園を作り出しています。それから、庭園は様々な自然の風景や精神性を取り込み、時代ごとに独自の発展を遂げて現代まできたのです。そのような文化的背景に加えて、京都が風光明媚な自然、豊富な岩石や植物に恵まれていたことも大きな要因の一つのようです。小笠原悟さんは、そんな京都において、庭のデザイン、植物の剪定など「庭」に関するすべてに携わる造園業を営んでいます。

もともと美容師だった小笠原さんが、庭に興味を持ったのは「実家に来ていた、植木屋さんが実に楽しそうに仕事をしていた」からだと言います。それをきっかけに、京都の正統的な庭師の親方の元へ弟子入りをしました。
「庭にも伝統や風習に基づいたルールというものがあります。やってはいけない形とか、組み合わせとか。そんな基本的なことを、言葉ではなく感覚で教え込まれましたね。京都ならではのセンスや表現も磨かれました」。
京都には夢窓疎石の西芳寺、桂離宮、小川治兵衛の無鄰庵などの名庭がたくさんあります。
一方で、町家の坪庭や茶庭といった、日常に即したものも数多く見受けられて。様々なバリエーション、スケール感やバランス感覚など、庭に携わるものにとって「京都はたくさんの刺激を与えてくれる場所」なのだそうです。

「そうかといって、自然を相手にしているわけですから。小手先だけでデザインしても、人の手ではどうにもならないこともあって。気候や風土、植物のクセなどを頭に入れて、10年後、100年後の姿を想像して今の仕事をしなければなりません。自然や植物の恩恵を受けているのだと、つくづく実感することが多いですね。育っていくことで理想に近づいていくような感じです。
自然というのは、本当に理がかなっていて、枯れてしまったり、根づかなかったり。。そこには必然的な理由があるのですが、そのためのマニュアルなどありませんからね。科学の力は必要ですけど、あいまいだったり、時間をかけたりすることで、解決することもある。決めつけないで、のんびり構える事も重要です(笑)」。

ライフスタイルの変化とともに、庭の形態も変化を余儀なくされています。
「樹木や植物が形を変えるように、庭も時代によって求められるものがかわってきます。京都らしさにこだわりはありますが、古典的なのとは違いますね。今、考えている事があって、街中のビルを里山のように緑にしたいなぁ。と。壁面緑化計画です。植物を身近に置く事で、ルールを身につけ、好奇心を育てる。そんな遊びを世の中に増やして行ければいいですね」。

小笠原 哲(34)

1974年京都生まれ。高校を卒業後、美容室に。1995年に佐藤造園(現在は京都楓雅舎)に入社。
2004年独立。2005年に(株)みちくさを設立した。庭の下地造り、設計〜施行、剪定、草木の手入れ相談まで、庭に関する事は一通りこなす。屋上、バルコニーなども手がける。
好きな食べ物はスイカ。

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