木でも草でもない。竹は古来より、私達の生活に入り込み日常の様々なものに使われてきた身近な存在。日本には500種以上も竹の種類があると言います。それぞれ特性があり、工芸等では、主に「真竹」が使われるのですが、その使い方の可能性は、まだまだ未知数なのだとか。そんな竹の可能性に魅せられ、竹と向き合い、ひたむきにもの作りに取り組む職人が山本雄介(30)さんです。
「日々ご供養として、お手前にのっとった献茶・献香を差し上げる。それが庵守の勤めです。そうは言いましても、平安の歌人として様々に影響を与えた偉人。その方に一服差し上げる事は、想像以上にとても大きな緊張とプレッシャーを強いられますね。ある意味、滅私奉公ですから。」
山本さんが、竹に出会ったのは94年。京都伝統工芸専門学校に入学し、竹細工を専攻したことがきっかけです。「母のすすめもあって、他の人が進学するのと同じように、この学校に入学しました。これをやりたい!という目的があったわけではないのです。ただ、手先が器用で、ちょこちょことモノを作るのが大好き。性に会っていたのかもしれませんね。自分が職人になるとは、思ってもいませんでしたから」。竹を専攻したのも「何となく」と言うのだが。山本さんの現在の作業場でもある生家は竹林に囲まれた一角にある。窓を開ければ竹林。子供の頃から、竹林で遊び育った山本さんにとって、竹は普通に当たり前にある「日常の生活そのもの」といっても、過言ではないよう。竹職人を生業と選んだ今となっては「やっぱり、そういう環境が影響していたのかも。本当に何も考えず、すっと選んだのです。竹を」。
卒業後、市内にある竹材を扱う会社に入り、現在も勤めを続けています。自身のためのもの作りは、プライベートな時間を使って。二足のわらじ。「365日。24時間。竹のことを考えて暮らしています(笑)」という毎日の暮らしぶりです。日中の会社勤めで、日々磨かれる技術。「竹をへいだり、編んだり、丸モノを加工したり、漆を塗ったり。正統的な技術を継承できて。学校で学んだ技術も、使って磨かなければ進化しません。また、経験のある熟練の職人さんの仕事を身近に見ることができるのも貴重。ここでのキャリアは、何にも変えがたいものです。そのおかげで、竹の扱いは一通り、どんなものにも対応できるようになりました」。分業制のこの世界にあって、一からすべてをこなせると言うから心強いものです。
自身でのもの作りは、照明器具、オブジェなどの大きな物から、携帯ストラップやビアマグ等の小物まで様々。何を作るのか?アイデアが煮詰まったら、フシ、色、太さなど、それに見合う竹を取り加工し、商品として仕上げていきます。近頃では、インターネットでの販売も始めたそうです。
「夏は蒸し暑く、冬は底冷えする寒さ。京都のそんな気候、風土が良質な竹を育ててくれるようです。京都の竹は、全国でも有数の高級素材。光沢もすばらしく、強さもあって。そのような特徴を最大限に生かせるような、切ったり、へいだり、曲げたりして、偶然予期せぬものが生まれたり。そのような行程の中で、未だに見たことの無いような姿や形を創造できたらおもしろいと思いますね」。竹のもつ様々な可能性。天然素材の微妙な手触りも、また魅力の一つなのだそうです。







