|
|
|
||||||||
![]() |
伝統や文化を受け継ぐ事を生業とする若い世代を紹介します。![]()

京都の北に下賀茂という地域があります。昔この当たりは、農家が多く京野菜などを大々的に作っていたといいます。今では住宅街となり面影を見つけることさえも難しいのですが、その中に、ひっそりと暖簾を構えるのが「あさ田」です。大正13年創業の「あさ田」は、「すぐき」「しば漬」など、当時から変わることない家庭の味を今に伝える老舗漬け物や。自分たちが作れる範囲での少量生産を貫き、昔ながらのやり方にこだわります。シンプルで素朴な味わいが魅力。その味を未来に繋ごうとする継承者が、麻田洋子さんです。
「昔は当家もお百姓だったんですね。採りたてのなすやかぶらや菜の花などの野菜を、行商として売り歩くのが商いで。そこで残ったものは、おかずとして食卓に上がります。そのうちに、保存するために塩漬けにしたり、お醤油で炊いてみたりするようになったといいます。それがあさ田の始まりですね。麻田家の家庭の味を、行商先や近所の人たちにお裾分けしていたところ、評判を呼び、それが商いの中心になったのです」と麻田さんは話します。行商は情報交換など、優れたコミニュケーションの場として機能していたようです。今で言う、口コミネットワーク!
そうは言いながらも。時代の波とともに畑は減少し、よい野菜もとれなくなって様々な危機に直面します。大人になるにつけ、祖母が一人で、しんどそうに切り盛りしている姿を見ながら、お店の今後を考えたとき「私がこの味を伝えなければ!」と決心したのだそうです。「小学校の時は、忙しいと店の手伝いが当たり前。ニオイは嫌だし、寒いし。大嫌いだったんですよ。でも成人した頃には、ごく自然に。誰にいわれるでもなく、おばぁちゃん、教えて!って感じで」。
パティシィエのような、今風のスタイルで漬け物を仕込む麻田さん。もの作りへの姿勢は真摯でひたむきです。野菜のつけ込み加減を指先に記憶させるために、どんなに寒い時でもゴム手袋などはつけません。おばあちゃんの味を出すのも、簡単ではないようです。何度も失敗を繰り返し、試行錯誤を重ねて。「マニュアルなどはもちろんありません。季節や素材によって違う!が、おばあちゃんの口癖ですから(笑)。その感触、加減がだんだんわかり始めてきて。それをさらに追求するのが、今は楽しくって仕方がないのです。手の荒れのことなど気にしていられません(笑)!」。おばぁちゃん曰く「この子は、もう私の味を継いでくれてまっせ」。麻田家の味は、祖母から孫へ。確実に受け継がれているようです。「昔、ここがご近所の情報交換の場となっていたように、もっともっとここをオープンにしたいですね。漬け物カフェのようなのも、おもしろいかも。最終的には畑を持って、野菜作りから始めるのが夢。自分しか作れない、オリジナリティあるお漬け物を作りたいですね」。
祖母と孫が並んでお漬け物を作る姿は微笑ましく、忘れかけた何かがフラッシュバックする瞬間でもありました。ファッション雑誌にもでてきそうなお嬢さん。麻田さんの第一印象はそんな風でした。ほのぼのとした中にも、芯は強く、今時の子らしい新しい発想にも溢れているようです。あさ田が今後どのように進化してくのか。楽しみに見守りたいところです。
![]() |
麻利本舗 あさ田や |

