キョウト・スタイル 12月号

伝統を受け継ぐというコト キョウト・スタイル





 
 
 

Kyoto lifestyle connection キョウトからはじまる美しいくらし

伝統や文化を受け継ぐ事を生業とする若い世代を紹介します。vol.10

麻利本舗 あさ田や 麻田洋子(27)/Yoko Asada

「茶釜」。一般には、馴染みの薄いものかもしれません。茶の湯の際には湯を沸かすための道具として使われます。お茶会の事を「釜を掛ける」と表現するように、重厚で美しい佇まいは主役級の存在感なのです。茶の湯が文化として根ざしている京都には、「京釜」という伝統的な釜作りの世界があります。釜師の吉羽柾人さんは、釜師「吉羽與兵衛」の家に生まれ、京釜製作に携わる一人。

現在、釜を作る家は、京都にも数えるほど。その中で「吉羽與兵衛」は、今でも古式にのっとったやり方で鉄を鋳造し、茶道具を中心としたもの作りを行っています。「祖父は千家十職の大西家十三代の浄長に弟子入りし、別家を許され屋号受けて。以来、京釜の伝統を守り、伝えています」と吉羽さん。大学を出て、美術商で丁稚修行。道具への目利き、知識を深めてから、お父様が当代を務める「吉羽與兵衛」へ。厳しい指導のもと、職人技を習得すべく、修行の毎日。  

「釜には基本的なきっちりとした形があります。利休形など。代々伝わる木型を、いかに忠実に作り込むのかが重要です」。京釜には、作者の名を入れないのがルールだとか。同じ形の釜でも、同じ物は一つと無く、釜肌に作り手の個性がでるのだといいます。荒肌や絹肌など釜の表面に現れる独特のざらつきは、秘伝のものがあって、それは親から子へと伝えられていくのです。  では、京釜はどのよう作られる?「簡単に言えば、鋳造です。木型で型を作り、そこに鉄を流し込むという。そこから、叩いたり、削ったり。一つの釜を仕上げるまでに何十という工程があって、そうですね、2ヶ月はかかりっきりになるでしょうか。その工程のすべてを手作業で行っています。」。現代でも炭で火を起こし、鉄を溶かします。火加減、鉄の配分、焼加減…すべては目と手の感覚が頼りの奥深き職人の世界。もちろん、マニュアルなどは一切有りません。「本当に地道な作業の繰り返しです。汚いし、ホコリはすごいし。今の労働には、決して見合わないでしょう。後継者もどんどん減って。この正統的な技術をきちっと残し、未来へ繋げていくこと。それが私に課せられた使命なのではないかと思っています」。

土とホコリにまみれた作業場は、火を扱うということで「女人禁制」の神域です。「汚くてスイマセン」としきりと恐縮する吉羽さんですが、ひたむきに鉄と向き合う職人魂は「男前!」の一言に尽きるのでした。久しぶりにカッコイイ仕事に出会いました。

京釜 吉羽與兵衛

京都市南区東九条西御霊町3
電話:075-661-0448
完全受注製となりますが、釜などのメンテナンスなども行っています。ご相談ください。また、上記工房では商品などを見ることはできません。個展や道具屋などへ、お問い合わせください。

<展覧会のお知らせ>
喜寿記念 京釜師・吉羽與兵衛展 お家元お好みの作品を中心に、当代独自の創意を加えた新作約50点を展示します。
場所:札幌三越9階三越ギャラリー
会期:4月24日(火)〜30日(月)まで
最終日は午後5時にて閉場
吉羽柾人さんも現地に出向きますので、お近くの方はぜひお立ち寄りください。

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