キョウト・スタイル 12月号

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Kyoto lifestyle connection キョウトからはじまる美しいくらし

「品格のある、ていねいで普遍的な」キョウトのもの作り。vol.02

西陣にある勝山織物は「繭を育て糸を紡ぎ、帯を作る」という昔ながらのやり方にこだわる貴重な織元です。創業は1891年。美しい織物を作るために。そのモノ作りへの真摯な姿勢は、今も変わること無く貫かれています。そんな中で、要となるのが養蚕業。南信州の麓で自らの桑畑を持つ勝山織物の蚕〜織物になるまでのモノ作りを数回に渡ってレポートします。

1・桑の木を植える

この日は、30年に一度。という桑の木の植え付けの作業が行う日です。植え付けを行う、畑の敷地は45アール。何本もの溝があり、藁をまき、肥料をまいて、土をかぶせ寝かせる。このような下準備が、すでに一週間かけて行われています。この溝にそって、約50p間隔で、一本一本丁寧に植えていくのです。木を垂直に植えていかなければなりませんが、これが結構ムズカしい。まず、間隔。これが狭いと木が成長したときに、枝がぶつかり合ったり。逆に広いと、日が当たりすぎて良くない。鍬の柄に目印にテープをはり、それを目安にします。しかも。木の根っこはほぼ直角にまがっているため、少し山を作りその斜面に根っこを安定させるようにしてから、両側の土を一気に掛けて踏み固めます。それを省略すると、斜めになったり、右左にぶれたり。私がやるとジグザクになり、なかなか整った列はできません。名人の植えた桑の木は、美しく一列に並んでいるのですが。さすが!です。

植える桑の木は3200本。「ねずみがえし」という、上田産の在来種を準備したといいます。江戸中期に改良された「ねずみがえし」は、生育に手間がかかり生産性も低いために、今では貴重な品種となってしまっているとか。もともと桑の木は、どんな土地にも適応し、それが日本の養蚕業が発展した理由の一つでもあるのですが、この種に限っては適応範囲が狭いそうで。だから、非常にデリケートなのです。  ねずみが登ってこられないように、枝が反り返っているのが特徴。葉は小ぶりながらも硬く、イメージでいうとシャキシャキ歯ごたえ!といった感じなのでしょうか。蚕も人間と同じグルメなのです。食べ物が悪いと、良い糸をはきません。それは後々の染〜織まで、すべての工程に影響を及ぼすことだというのです。でき上がった糸や織物を見ても、そんな事には思いも及ばないでしょう。「すべてにおいて気をくばる」。勝山さんのそんなこだわりが、隅々にまで貫かれている事を実感するのでした。

今回植えた桑の木は、1年に2〜3度の枝打ちを行い、4、5年ほどかけて成長するそうです。それを蚕に与え、糸にして織物になるまでの道のりは、果てしなく遠いのです。ここからとれる糸は、わずか25着分の着物に相当する分にしか過ぎません。また、枝打ちした枝や葉は、燃やして灰に。肥料代わりに土に戻したり、染色の際の灰汁にしたり。すべてを無駄無く利用しているのです。ちなみに桑の葉は、お茶として飲めるそう。桑の実もマルベリーといって、ジャムなどにするとおいしいそうですよ。先行して植えてある桑の木が、葉っぱを茂らすのは5月の下旬。次の作業は,いよいよ春繭の飼育です!

 

勝山織物/勝山健史(40)
1966年京都、西陣の機屋に生まれる。91年、家業へ。 92年に「洛風林」と共同で、帯製作を始める。 02年長野の飯島町に絹織製作研究所を設立。 養蚕〜織まで、一貫したもの作りを始める。今年、在来種の桑を植え替え。

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