キョウト・スタイル 12月号

リコメンド・アイテム

Kyoto lifestyle connection キョウトからはじまる美しいくらし

「品格のある、ていねいで普遍的な」キョウトのもの作り。vol.02

京都御所の南側に築70年のハイカラな洋館がある。少し奥まった小さな階段を上がると、ものすごい熱気と生薬系のアロマティックな香り…その中で、店主である青木正明さん(39)が、寸胴でグツグツ煮込んだ草木を染料に、オーガニックコットンのTシャツや小物類を一点一点ていねいに染め上げる。
今回訪ねたのは、古来からこの地にも所以のある草木染めに魅せられた青木さんの工房兼ショップ。

好奇心を刺激する染業という仕事

「医食同源」という中国の言葉がある。病気を治療するのも、食事をするのも、生命を保ち養うためには共に欠すことはできず、源はすべて一緒だという考え方。古代より草木染めに使用されてきた原料は、茜、黄檗など、染色だけでなく薬用に使われてきたものも多い。「染の行程は、お料理を作る行程と似ているんですよ。素材を厳選して、時間をかけて、煮出して。染め上げるまでには3日。それから、じっくりと天日干しで乾かします。何日も寝かし完成するスープを作っているような感覚ですね(笑)」と青木さん。草木染めもまた「医食同源」という言葉がぴったりはまるようだ。
恵まれた自然環境の中で、美に対する独特の感性を育んできた日本人。古代より自然を崇拝し、感謝し、身近な生活に取り入れてきたのだという。「様々な恩恵を与えてくれる神様の贈り物が植物なのだ」とも。「飛鳥時代から、草木染めはすでに生活の中にとけ込んでいたといいます。そのことを考えると、非常に奥深く、興味が尽きることはありませんね。やればやるほどわからないことだらけですから…」。そんな中で、青木さんにとって京都は本物に出会える機会が多く、もの作りにとっての刺激や可能性の多い場所だそう。


草木染めは手のかかる生き物

アパレル会社に勤務時代、草木染めと出会った。「天然染料が持つ複雑でやさしい、もぁっとした独特の色合い。何よりも、可愛い色加減にビックリ。こんな色があるのか!と思いましたね」。もともと、古着系が大好きという青木さん。やれた感じやジーンズの持つタテ落ち感、古着の持つ微妙な風合いに近いものが草木染めだと考えた。でも、草木染め、手染めというと、現状ではどうしても世代が上になってしまうという事情もあった。「もっと自分達世代が着たいと思うものを作りたい」。そんな思いから、会社を辞め、奈良にある益久染料研究所に弟子入り。修行期間をへて、2002年に工房兼ショップを構えることになる。「僕の尊敬する染色家は、朝起きたときに、その日の天気で何色を染めるのか決めるそうです。配合や加減なども、機械任せにせず、すべて自身の手によるもので。草木染めの原料は、乾燥しているとはいえ植物。生き物ですからね。気候や温度など、環境によって微妙に染め具合も変わってくる。そのちょっとした違いを見極めるのは、熟練した長年のカンがなせる技。何年かかるかわかりませんが、僕もそのような染業の境地を目指していきたいと思っています」。

草木染めを何より愛する青木さん。その熱い思いは、実際に工房を訪れ、肌で感じてみるのがベスト。色々教えてくれること間違いなし。そのピュアな人柄も魅力だ。

手染メ屋
京都市中京区麩屋町夷川上ル笹屋町456-2階
電話:075-221-1498
営業時間:11:00〜19:00
休日:日曜日

オーガニックコットンTシャツは、155〜185センチのサイズで6900円。ワークショップや若手アーティストとのコラボレートなど、精力的に活動する。
http://www.tezomeya.com/

バックナンバー / vol.01