キョウト・スタイル 12月号

リコメンド・アイテム


Kyoto lifestyle connection キョウトからはじまる美しいくらし

「品格のある、ていねいで普遍的な」キョウトのもの作り。vol.02

寒さも本格的になる季節。ぬくぬくと暖かい素材感が、一際恋しいシーズンになりました。山本亜希さんは、京都を基盤に活動するフェルト作家。羊の原毛を縮絨(しゅくじゅう)して作る一点ものの作品は、和のテイストと優しい風合いが魅力です。

素材の面白さに引きつけられて

「着物や昔ながらのものが好きで、京都内にあるいくつものアンティークショップや骨董市を巡るのが趣味。ある時、紬の着物に合わせるバッグを買いに出かけたのですが…。「その着物に似合う、個性的なバッグがなかなか見つからなくって。それなら、原毛で自分で作ってみよう」と思い立ったのが、山本さんのフェルト作家としてのキャリアの第一歩です。京都市立芸大の彫刻科で、金属を扱っていました。カリキュラムの中にあったフェルト制作の感触が、忘れられずフラッシュバックしたのだとか。「金属と毛足のある柔らかい素材。対極にあるものですが、そのときのフェルトの手触りの面白さに引かれたのでしょうね」。それにしても、いきなりバッグを作ろうなどとは…。本を片手にバッグを完成させ、以来フェルトの魅力にハマってしまったそうです。その後、本格的に創作活動を開始し、バッグ、帽子、アクセサリーなどなど。「自分が使ってみたい」と思う、身の回りの物をフェルト作品としてデザイン。原毛〜仕上げまで、すべて一人で一点一点手作りしています。



和の意匠を生かしたもの作り

山本さんの作品作りのコンセプトは「日本人が作る日本のフェルト」。ひな祭りの段飾り、野点の毛氈など、フェルトは日本でも馴染みの深い素材です。「北欧とか。ヨーロッパのものという印象も強いのですが。日本にも意外に身近なところにフェルトがあるのです。もの作りには、その人の生活の背景が重要な要素になると思います。気候や風土に根ざした生活用品を作りたい。ならば、今私の住んでいる京都からのインスピレーション、和の意匠を生かしたもの作りをしてみようと」。京都にある伝統や文化、骨董市や焼き物にいたるまで、日常のはしばしにたくさんのヒントがあるようです。また、週一回。お茶のお稽古に通っていると言います。そのことも作品作りに多大な影響を与え、懐紙入れや数寄屋袋、香合など,「お茶回り」の個性的な作品もたくさん登場します。帯締め、帯留はもちろん、帯等の大作にもチャレンジしていて。その作品のどれもが和とモダンを上手にミックスした、大人の女性にもピッタリの甘口のさじ加減。その山本さんのセンスこそが、ファンを魅了する理由の一つなのでしょう。これから迎える冬に向かって、ますます精力的に創作活動を展開予定というから、楽しみですね。

山本亜希/やまもと あき
68年奈良生まれ。94年京都市立芸術大学大学院彫刻科修了。卒業後、洋菓子メーカーの企画開発デザイナーを経て、フェルトの差応策活動に。関西を中心に作品を発表するかたわらで、ワークショップ、グループ展など精力的に活動を続ける。


http://www003.upp.so-net.ne.jp/sengra/aki/

●展覧会のお知らせ●
「スープの時間」展
陶磁器の器と山本さんが作るフェルトのコースターとのコラボレーション。食卓を彩る組み合わせの提案やバック、小物類の展示等も行います。
日:12月5日〜10日、12月19日〜25日
場所:human+art太陽事務
詳しくは http://www.taiyo-jimu.jp/

バックナンバー / vol.01vol.02