オーナーの宇治田裕尚氏は、老舗「ひさご寿司」の次男として生まれた。ファッションの仕事を目指し上京するが、巡り巡って料理人に。「たん熊北店」「料理旅館ひろや」「ひさご寿司」で修行を積み、3年前に同店をオープンした。
「京都の料理が高級になりすぎていますね。しきたりやマナーなどを気にせず、もっと気軽に若い世代にも和食の良さを知ってほしい。その窓口にしたいと考えました」。かといって、カジュアルなカフェやダイナーのイメージとは少し違う。あくまでも、基本を押さえたしっかりとした料理色を出す。
「懐石というジャンルにはこだわらない」といいつつも、それはやはり正統派だ。得意なものは寿司。ラムや牛肉を使用したかわり寿司など、ひねりの利いた素材使いと組み合わせがおもしろい。きちっと時間をかけて食事を楽しむコースや松花堂弁当、パスタ、ご飯〜スイーツまで気軽なメニューも充実していて、その日の気分によって色々セレクトできる。
席数は18席。空間の広さにくらべると、とても贅沢な選択だろう。でもそれが、宇治田さんにとっての「すべてにいきとどく範囲」。その言葉とおり、店内の細部にまで神経を行き渡らせ、仕入れから配膳までをも一人でこなす。帰り際、お客様の姿が見えなくなるまで、見送る宇治田さんの姿は印象的だ。ていねいな料理とおもてなしの心。革新的で禅のような空間。この中で、様々な京都の神髄に出会えたような気がした。また、この空間がアーティストを刺激するのか、空いたスペースではしばしば個展やエキジビジョンなども行われる。






