キョウト・スタイル 9月号

スタイルピックアップ

Kyoto lifestyle connection キョウトからはじまる美しいくらし

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老舗「岡重」のコレクションを集約 『日本の絆と伊達 羽裏 岡重コレクション』

羽裏が語る素晴らしき日本人の美意識。

 友禅染は、京都の扇絵師、宮崎友禅斎が元禄時代に創案したのが始まりだと言う。それが、爆発的に庶民の人気を得て、柄や文様やディテールが様々に工夫されるようになった。おしゃれにこだわる人は、日本画家に下絵を描かせたり、西洋絵画のモチーフをアレンジしたり。現代なら、オートクチュールで服をオーダーするように…。柄や文様にこだわることこそが、トレンドの時代だった。
江戸時代には、華美な装いが禁じられたこともあり、そのこだわりは見えない部分へと発展する。羽裏や襦袢がそう。アールヌーボ、アールデコ、古典の琳派、更紗など、見えない部分だからこそ、より自由に豊かな表現が可能となり、また競い合うようにそれが求められるようになった。
岡重は江戸時代末期創業の老舗友禅工房で、創設者は優れた技術をもった職人であり、多くの後継者を育てた指導者でもあった。化学染料を先駆けて輸入し、結果友禅染を庶民に普及させるのにも一役かった。また、ニ代目は裏地の染織加工を専門とし、川の水に生地をさらして洗う「友禅流し」を最初に手がけたという。そして、更紗や小袖、羽裏などの希代の蒐集家でもあった。
ここで紹介されているコレクションは、大正時代をメインに、明治〜昭和初期にかけ、岡重の初代〜二代目が実際に手がけた羽裏の柄の数々。 資料として染め見本帳に保存されていた約200点をピックアップしたもので、それは保存されている資料のごく一部にすぎないそう。時代ごとに分類されていて、柄にはその時代の世相、風俗が反映されているからおもしろい。でも何よりも、目を引くのはダイナミックで斬新な図柄。今の時代にも、十分に通用するみずみずしいモダンな感性。それがどのページにも息づいている。こんなに多様な表現手段をかっての日本人は持っていたのだ!やっぱリ日本人の美意識ってすごい。あらためて、そう実感できるような本。キモノ好きのみならず、アーティスト、クリエーターなど、もの作りの人にもぜひ見てもらいたい一冊だ。(内貴 美喜)

水龍文様 貝づくし文様 モダン絵画文様

『日本の粋と伊達 羽裏 岡重コレクション』

市田ひろみ
藤井健三
定価3,990円/アシェット婦人画報
A5判
304ページ
大きさ:21×14.8cm
重さ:645g
(株)岡重:http://www.okaju.com/